いくら気をつけていても、車に傷がついてしまうことはあるものです。あなたの車についてしまった傷は、直した方がいいのでしょうか?それともそのままにしておいた方がいいのでしょうか?様々な角度から考えてみましょう。
私の経験
私はかつて、自動車ディーラーに勤務していた際、三回新車を購入したことがあります。当時私が勤務していたディーラーには社員の自家用車制度があり、車種に制限はありましたが、社員であれば低金利で買うことができる、ある程度の値引きをしてもらえる、仕事で使うのならある程度の燃料の補助がもらえる、などの利点がありました。私はRV専門の拠点にいたのですが、ランクルは高くて買うことができなかったので、当時流行っていたカルディナを買いました。今は宮城県に来て社名も変わってしまいましたが、カルディナは当時相模原のセントラル自動車で製造しており、私はその拠点でカスタマイズしていた特別仕様車を手に入れました。新車なので塗装のコーティングをしたのですが、その時に施工してくれた方が、ボンネットの塗装にちょっとだけイレギュラーな箇所、本当に小さなエラーがあることを教えてくれました。私はかなり興奮してしまい、所長にクレームの再塗装を願い出ましたが、当時の上司はそんなことはしないでそのまま乗った方がいい、と私に言いました。結局私の希望が叶うこともなく、その塗装はそのままだったのですが、今から考えるとそれでよかったと思っています。仮に再度塗装をするとなると、新しく組みつけたボンネットを取り外して、再度塗装をすることになります。現在の塗装技術、色を出す技術はかなり精度が上がっていますが、新車時の塗装を完全に再現できるかと言えば疑問が残ります。どうしても、いくら技術が進歩しても、全く同じようにはできないのが塗装なのです。見かけは同じでも、再度塗装をしているということはわかってしまいます。ここからが本題なのですが、査定上は事故車の定義には入らなくても、再度塗装をすると軽い修復歴と同じような扱いになってしまう場合があります。仮に、次に売ることを考えて今この車に乗っている、高く売りたいのでとても大事に乗っているという場合は、できるだけ新車の時の状態を保つように心がけるのが賢明です。もちろん、傷の状況にもよりますが、保険が使えるからといって安易に板金塗装に出してしまった場合、次回からの保険料がアップすることに加えて、自動車の価値が思った以上に上がらないかもしれない、というリスクを抱える事態になる可能性を完全には否定できません。私の新車のボンネットの傷は、よくよく見なければわからない程度のほんの小さなものでしたが、仮にこのような傷が後からついてしまった場合、塗装修理に踏み切る前に、次はこの車をどうしたいのか、という視点から、再度修理に出すか否かを検討した方がいいと思います。仮にしばらく乗って、その後は再び新しい車に買い替える予定があるのなら、よっぽど酷い状態でない限り、ほんの小さな傷であれば、そのままにしておくことも一つの選択肢に入れて考えましょう。むやみに塗装修理をしてしまうと、色が合わない、塗装修理歴あり、と査定時に評価されてしまうケースがあります。この辺りは相場や感覚的なものがありますので、一概に言葉では説明しきれないのですが、考え方として、総合的に見ると、車についてしまった傷は塗装して修理するよりも現状維持の方がいい場合もある、という事を覚えておいて下さい。
私からのアドバイス
あなたがその車に壊れるまで乗り続けたいと決めているなら、小さな傷を修理してあげることは、車にとってもあなたの精神衛生にとっても良いことだと思います。少しでも次の車に乗る可能性がある場合は、よっぽど凹んでしまった事故や、放置すると錆が浮いてくるような深い傷でない限り、そのままでもいいのではないでしょうか、というのが私からのアドバイスです。今の車の塗装色は複雑な塗装が増えてきています。修理時は色が合っていても、経年劣化と共にその差が現れてくる場合もあります。仮に板金塗装修理を依頼するにしても、新車の色を完全に再現することは技術上大変難しいということを覚えておいて下さい。小さな傷程度であれば、それ程気にする必要はないかもしれません。ですが、車に対する価値観は人それぞれですし、車と一概に言っても数億円の車もあれば、時価のない車もありますから、一概に「こうですよ」言い切れることではありません。私の申し上げたことはあくまでも参考になさっていただき、最終的にはご自身でご判断いただきたく、お願い申し上げます。